今回は火星の神について書きます。火星は戦いの星です。当然神様も最も強い神様が司っています。 火星を司る神は武御雷之男神(タケミカヅチノオ)と言う神様です。 この武御雷之男と言う神様は茨城県の鹿島神宮と言う神社の主神であって、地震を引き起こす 大鯰(おおなまず)を抑える神様とされています。 武御雷之男神は火星を司る神として、神話の中では勇壮な力をふるっています。 大きなエピソードとしては出雲の国譲りの物語の中に登場します。出雲の国譲りとは大国主命 (オオクニヌシノミコト)と言う神が国造りをした、葦原の中つ国(あしはらのなかつくに)と 言う国に対して高天原の神たちがその国を譲るように働きかけた事件です。 国譲りと言っても、せっかく造った国です。当然、大国主命はすぐには国を譲りません。 そこで武御雷之男神の登場です。武御雷之男神は自分の持つ剣、十掬の剣(とつかのつるぎ)を 波の上に逆さに突き立て、その切っ先の上にあぐらをかいて大国主命に国譲りを求めます。 すると大国主命は自分の二人の子である神が了承すれば良いと言いました。 その子のうち一人の神の事代主は服従するのですが、もう一人の子の建御名方神(タケミナカタ) は武御雷之男神に力比べを持ちかけます。この力比べに武御雷之男神は勝ちます。 そこで国譲りへと動くのです。 もう一つエピソードがあります。このずっと後に神武天皇と言う初代天皇が東征したときの話です。 神武天皇が東征中に熊野で熊が出現したところ、神武天皇と神武軍が気を失うか力が萎えてしまいました。 そのときにある人の夢に武御雷之男神が現れ、夢の中で自分の剣を使えと言いました。 その剣を神武天皇が手に入れたところ、天皇は目を覚まし、剣をふるうまでもなく熊野の悪神を 切り伏せることが出来たそうです。 さてこうしたエピソードから火星の働きも理解出来るのではないかと思います。 まず初めに剣の上に乗って、大国主命に国譲りを迫った話、これは火星の持つ力の一つ 示威活動を表します。自分の実力、力を示すことで自分に有利なように物事を通そうと することです。火星には自分が有利になるように力を誇示すると言う側面があります。 次の話です。力比べをして勝つと言うこと。これは正に火星の力の本質を表しています。 戦いに勝つこと。それが火星の本質です。この力比べは相撲の元祖だとされており、 相撲始めレスリングや格闘技、あるいはサッカーや野球などありとあらゆるスポーツを司って いるのが火星なのです。 最後に自分の力の源泉である、剣を渡すことで神武天皇を助けると言う話です。 火星は剣、つまり武器と関係があります。こうした武器を自分よりも目下の者に 授けることによって手助けすること、これも火星の力です。 この武器とは例えば技術や能力なども表します。職人の世界では親方が弟子に自分が 培って来た技術を教えることによって、弟子を育てます。 こうした職人の世界、技術の世界、工業の世界なども火星が表す事柄なのです。 今回は火星の神が武御雷之男神であると言うことを書きました。 武御雷之男神のエピソードが火星が象徴する事柄と共通していることも書きました。 次回は火星のルールについて書きます。